日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」
楽天ブックスで見る日本という国の無常さと、トルコへの感謝を感じる一冊だ。
どんな本?
1980年のイラン・イラク戦争、1990年の湾岸危機、2011年のリビア動乱、2014年のイエメン内戦。この本は、こうした紛争のたびに在留邦人がどう救出されたのかをたどっている。当時の日本は法制度の未整備などから、政府として救出機を手配できなかった。そこで邦人を助けたのは他国の航空機であり、とりわけ大きく描かれるのが、1890年のエルトゥールル号遭難を原点とするトルコの人々による救出劇である。
この本で得られるもの
- 日本は在留邦人の救出のために、紛争地へ飛行機を手配できなかったという事実。僕はこの本を読むまで知らなかった
- 和歌山県沖で遭難したエルトゥールル号の乗組員を住民が懸命に救助したことが、約100年を経てトルコの人々による日本人救出につながったという歴史
- 歴史書には著者の視点も含まれるからこそ、さまざまな角度から物事をとらえ、自分なりの答えを持つことが大切だという姿勢
こんな人におすすめ
- 日本とトルコのつながりについて、背景から知りたい人
- 国が国民の命をどう守るのかを、具体的な出来事から考えてみたい人
読んでみて
心に残ったのは、救出に携わったトルコ人乗務員の一人が、当時妊娠中だったにもかかわらず「もうすぐ生まれる自分の子に、日本を助けたと誇りたかった」と答えたというエピソードだ。感謝という感情の強さと、見返りを求めない行動の美しさに感動した。同時に、国民の命を最優先にできなかった日本には悲しさも覚えた。僕もトルコの人々のように、見返りを求めずに行動できる人でありたいと思う。
僕が読んだのは別の出版社の版だが、ここでは現在入手しやすいKADOKAWA版を紹介している。