ファスト&スロー 上
楽天ブックスで見る人間の思考がどんな仕組みで動いているのか、そのメカニズムがよくわかる一冊だと思う。
どんな本?
人の思考は、直感的に素早く低負荷で処理する「システム1」と、エネルギーを使ってじっくり考える「システム2」の2つに分けられる。ふだんの判断の多くは楽で速いシステム1が担っているが、そこには様々なバイアスがかかりやすく、意思決定に影響を及ぼす。この本は、プライミング効果や確証バイアス、ハロー効果、平均への回帰といった現象を通して、僕たちの判断がどこで偏るのかを教えてくれる。
この本で得られるもの
- システム1は「信じやすくまっすぐな性格」、システム2は「怠け者だが、いざというときに助けてくれる参謀」。2つの性格を知っておくと、自分の判断を少し引いて見られるようになる
- 思い出しやすさが認知を左右するという利用可能性バイアスの話。ニュースでよく見るサメの被害を、実際より多く見積もってしまうのもその一例だ
- 成績が悪かった後に良くなるのは、叱ったからではなく平均に戻っただけかもしれない、という「平均への回帰」の視点
こんな人におすすめ
- 自分の判断や思い込みが、どこで偏っているのかを知りたい人
- 人に何かを伝える機会が多く、相手の受け取り方を理解したい人
読んでみて
読み終えて残ったのは、システム1で処理できる範囲は人によって違う、ということだった。どれだけの分野をシステム2で処理してきたかは、その人の経験によって異なるからだ。だから自分に対しては「この判断は本当に正しいのか」と一度立ち止まって疑い、他人に対しては、自分にとって直感でわかる話でも、相手はじっくり考えないと理解できないかもしれない、という前提で向き合いたいと思う。これは本に書いてあることではなく、読んだうえでの僕なりの受け止め方だ。研修のストーリー構成を考えるときの参考にもしていきたい。
ハヤカワ文庫版は上下巻に分かれていて、ここでは上巻を紹介している。